常紋峠・挑戦2001
2001年8月、レンタカーでの北海道。天気はイマイチだったが楽しいドライビングで生田原ノースキングに宿泊。ロビーはいつもにぎやかである。
昨晩早々と床についたおかげで目覚めは良い。カーテンを開けると青空。前の芝生の土手に「いくたはら」の文字が見える。
時計を見るとまだ6時、少し早すぎたようだ。時計にチューナーがついているものの、こんな田舎町ではFM放送など入るはずないだろうがとりあえず回してみた。
クリアな音質で「ジョアンナ」などオールディーズがノンストップで耳に届く。一日の始まりにふさわしい。続いて眠たくなるような甘いボーカルのかつて聞いたことあるアコースティックな曲がかかる。気になって頭に残る。
こうして音楽に聞き惚れている時も、列車は北見峠を越えた付近であろうか、確実にこちらに向かっている。
7時になった。食堂に足を運ぶ。大きなガラスからのさわやかな朝日が眩しい。すぐ横の線路を峠に向かってエンジンを吹かして列車は発車していった。
しかし感激している暇なく食事を済ませ、車に乗り込み峠へ向かう。踏み切りを渡りしばらく走ると釣堀、そこからダートになる。列車の時間が近づいているがスピードどを落として進む。
途中、道が悪く足をとられそうになる。スタッグしたらまず助けは来ないだろう。エライ所に来たものだ。すっかり人の気配のなくなった所に踏切がある。ここで車を止め構える。
しばらく待つ。沢の音しか聞こえない。ガサガサと草を掻き分ける音がする。動物であろうが熊ではなさそうだ。しかし朝かかっていた曲はいったいなんだったであろう。
まもなく、遠くで激しいディーゼル音がこだましてきた。「来た」徐々にそのディーゼル音が近づく。レールがきしみ、踏切が鳴る。静寂をかき消し頭にかかっていた曲もかき消された頃DD51重連貨物が姿を現し
ゆっくりとこちらに向かってくる。引っぱってシャッター一発。機関士と手で挨拶をして列車の通過を見送る。 貨車の乾いた音が過ぎればまた静寂に戻る。ただ心拍数は上がったまま。
また車を走らせ、町へ戻る。足をとられぬように走行ラインを選び、やがて舗装道路に。
午後、折角なので信号所へ。金華からダート道を走ればアッと言う間に着いてしまった。鉄道ファンの学生が2人居た。クルマは便利だが、現地についてもイマイチ実感が沸かない。
おなじみの迫力を堪能しながら撮影を楽しむ。 手を振ったら機関士は大きく振り返してくれた。先客のうち1人が「動画を撮っているので動きまわらないで」とお願いされていたことを忘れてしまっていた。
帰京後、機関車好きのOndeco7f氏に手持ちのPHSのボイスレコーダで録音した音を聞かせてみた。
しかし残念ながらその迫力は伝わらなかった。
ずっと疑問に思っていたその曲がブレッドの「イフ」であったことは何年も後のことであった。この曲を聴くと、激しいビート音を響かせるDD51を連想させてしまう。
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