2004・ムーンライト信州
新宿から中央・大糸線を走り白馬へ向かう季節運転の夜行快速列車。
今年みたく8月の暑い日、この列車を利用した。夜になっても涼しくならず、じっとしていても汗がにじみ出てくる。帰宅客の雑踏で余計に暑苦しい。 (この写真のみ2006年秋撮影)
特急専用ホームから出発するのでそちらに向かうと山男や自転車部隊など、すでに多くの人達がこの列車を待っている。
待ちくたびれた頃ようやく入線。列車は183系。かつて「あずさ」で活躍した特急車両である。
ドアが開くと皆吸い込まれるように車内へ入っていく。全車指定なので座席の奪い合いは無い。
満員の乗客を乗せ、新宿駅を発車。夜なお明るくヒートアイランドの摩天楼を後にする。普段の通勤路線で通い慣れた車窓もリクライニングシートであればなんだか不思議な感覚に陥る。
左側からステンレスに黄帯の緩行線列車が追い抜いてゆく。しかし次の駅で抜き返す。時代は変わってもダイヤはあまり変わらない。
立川、八王子と停車。少しだけ残った主のいない席が埋まる。景色は少しづつ暗がりが広がる。
列車は高尾を過ぎ、断続的にトンネルが続く。車内は明るいままであるが意識を失う。
気がつけば大月を過ぎて、笹子トンネルに向かって坂をのぼっている。やがて長いトンネルを抜け、左手に甲府盆地が広がる。宝石を散りばめたような夜景は、無理しても起きておく価値はある。
ほどなく塩山。深夜にかかわらず、山男たちが下車してゆく。
塩山を発車し、甲府へ。甲府に限らずほとんどの駅では停車時間が短いので下りられないのが残念だ。
また意識を失い茅野到着のアナウンスで目が覚める。山男たちが続々下車してゆく。
上諏訪、岡谷と停まり、塩尻へ。その頃少し明るくなり始めた空は、10分間の停車中に青く染めてゆく。
塩尻を発車。リズミカルなジョイント音とともに徐々に車窓が明るくなる。
この年、自分はいわゆる女性問題でかなり悩んだ。会社、親を巻き込み、結果体重も減った。自分をののしった女は何故あんな行動をとったのだろう。疑問が怒りを蒸し返す。
松本到着のアナウンスで我に返る。寝不足は余計な記憶を呼び戻す。
明るくなった松本到着。乗客が続々と下車してゆくが、停車時間は短い。
さて、アテネではオリンピックが開催中である。柔道、水泳、体操や陸上競技においても日本人選手が活躍をし、テレビでの興奮を思い出した。
松本を発車した頃、そのつどかかったテーマ曲「栄光の架け橋」頭の中でかかる。やはり寝不足である。
駅に停まる毎に少しずつ乗客が減ってゆく。信濃大町でだいぶ下車し、3分の1くらいにまで減ってしまった。少し霧がかかるが、さわやかな早朝の湖畔を列車は走る。窓が開かないのが残念だ。
大糸線がこんなすばらしい景色であったのは知らなかった。
ちょっとした山あいを走る。萱葺きであったであろう農家の建屋がちらほら見える。
乗客たちも荷支度を整え始める。
白馬に終着。皆次々と下車してゆく。真ん中がスロープになっている狭い跨線橋を登山靴達が足音を立て改札へ。
山男たちは駅前広場でタクシー、バス乗り場に更なる目的地へと向かっていった。
さわやかな高原の朝。昨日、いやつい数時間前まで大都会の雑踏の中にいた事が嘘のようだ。
自分にとって「栄光への架け橋」となったであろうこの列車の引き上げ回送を湖畔で撮影いたしました。
さて、今度はどんなドラマが待ち受けているであろうか。
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コメント
もうワクワクドキドキで眠れましぇ~~ん♪(≧▽≦)/
投稿: ともぞう | 2007年8月29日 (水) 23時08分