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2007年7月25日 (水)

1987・急行まりも

国鉄が民営化されたこの年、鉄道が単なる移動手段だけではなくひとつの商品としていろいろと試行錯誤された年でもあった。
国鉄時代のものと新しいものが同居した姿は鉄道好きにとっては堪らない年でもあった。
あれから20年が経ちました。その間思い出あるこの列車は特急格上げ吸収後、再び愛称が復活しましたが、ついに今秋で臨時に格下げられてしまうそうです。

Img_3 8月23日、その日は夕張を見て回り、夜8時過ぎに札幌駅に戻ってきた。0番線脇の立ちそばを食べ、英気を養う。
札幌と釧路を往復している急行列車で、B寝台車4両と指定席1両、自由席2両連結されています。
初めての首都圏以外始発の夜行列車であり、何かあっても友人の他に知り合いはいない。一抹の不安がある。
まだ早いが駅の外に出て見知らぬ町をさまよっても仕方ないので列車の入線する4番線ホームドア口で待つことにした。
さすが大都市札幌駅だけに様々な列車が発着し、退屈しなかった。隣の5番線に大きなアナウンスと共に「利尻」が入線してきた。
電気機関車の音とそれに続く14系客車のブレーキ、ディーゼル音が全てをかき消す。ドアがあくと長い行列は車内に吸い込まれていった。しばらくしてアナウンスと共ディーゼル機関車に牽かれて「まりも」が入線。胸が高まる。ドアが開き車内へ。車輌中央の進行方向右側に座る。前の座席を回転させ4人掛けにし、友人と2人お互い足を伸ばす。乗車率は60%くらい。停車駅時刻の車内アナウンスが流れる。道内の駅名が次々に読まれ、北海道に来たという実感が沸く。先発の「利尻」は稚内に向けて発車したようだ。ホームへ買い出し。アクエリアスレモンと少年ジャンプを購入。ジャンプを読むがキン肉マンと奇面組の連載は終わってしまった。
22時25分。機関車の警笛とともに発車し、左右にくねらせながらポイントを渡ってゆく。聞こえてくるのは乗客のはずんだ話し声と床下のディーゼル音、機関車の音くらい。どれも気にならない。発車後のアナウンスが入る。懇切丁寧である。寝台車は明日のモーニングコールまで放送無しとはこの時初めて知った。直線の千歳線をとばし、千歳空港より石勝線に入る。外はもう何も見えなくなった。追分あたりで意識を失った。
小さなショックで目が覚めた。新得到着だった。反対ホームには上り便が停車している。また何となく意識が遠くなる。帯広到着のアナウンスが聞こえた。線路沿いに民家や街灯が見える。旧型客車を利用したライダーハウスを横目にホームに滑り込む。20分停車。とりあえず改札へスタンプを押し、入場券を買い求めた。駅員さんが日付のチェックをし、笑顔で応対してくれた。こんな真夜中にありがたい。ホームで背伸びをする。夜霧がたちこめひんやり寒くなっている。先頭のDD51ディーゼル機関車の2200馬力の心臓が発車を待っている。席に戻り、列車は帯広を後にする。橋を渡る。暗がりの中、右に使われていない鉄橋が見える。半年前に廃止になった広尾線の橋のようだ。橋を渡るとまた何も見えなくなった。しばらくするとアナウンスが入り、池田に到着。7分間停車。滑り止めのゴムシートが敷かれた木造の跨線橋を渡り、入場券を買い求める。笑顔で親切な対応でした。今思えばこんな時間帯に応対できる駅員などまず居ないのでものすごく貴重な経験でした。空がうっすら青くなっている。池田を発車。窓の外が徐々に明るく視界が広がり始めてきた。曇り空の様だ。
十沸を通過した頃少しずつ車窓が広がる。通路挟んだ反対側の車窓に見とれる。牧草地が遠くまで広がり、その向こうに小高い丘が続く。丘の中腹に雲がかかっている。まさに北海道の風景である。起伏のゆるやかな牧草地にはサイロや干草をロール状に巻いたもの(あれ何ていうんですか)が車窓に変化を添える。すばらしい眺めである。浦幌を発車し、雑木林の中へ。雲の間から光が差し込めてきた。窓さえ開けば・・・。
列車は右に左にくねらせながらゆっくりと林の中を走り、小さなトンネルに入る。雑木林を抜けたら霧がたちこめてきた。小さな集落が見え、ひとけのない駅を通過。単調なジョイント音が身にしみる。
左にカーブし、右側に突然海が見えた。どんよりとした空の下波が荒い。しばらく海岸線に沿って走る。左側は湿原が広がる。湿原の向こうから国道が近づいてきた。灯火をつけたトラックが同じ方向に走る。道路が空いているため、こちらに目もくれず追い抜いてゆく。鉄橋を渡り集落が広がる。音別だ。乗客たちもそろそろ起きはじめている。音別で数人が下車し改札へ向かっている。音別を発車し、白糠へ向かう。霧が濃くなってきたためあまり見えない。ほどなく白糠着。反対方向に始発列車が停車中。4両位の編成は学生や用務客でそこそこの乗車率である。白糠を発車。次は終点釧路である。車内はだいぶ空いている。荒涼とした大地を走り、国道を横切る。工場が目立ってきた。
オルゴールと共に最後のアナウンスが入る。乗客たちが下車の準備を始める。新富士駅通過。貨車が沢山止まっている。川を渡り住宅街を横目にゆっくりと釧路終着。ドアが開き、列車を降りる。肌寒い。「くし~ろ~。くし~ろ~。」駅員のアナウンスからはるばるやってきた事の実感が改めて沸く。
ディーゼル機関車のアイドリングと客車のディーゼル発電機がホーム一杯に響くが疲れた様子はない。乗客たちは乗り換えてさらに東に向かう人、改札を出てゆく人、皆足取りは軽い。Img_0009_1
列車に別れを告げ、霧雨の中街へ繰り出す。さて、朝市にでも行きましょうか。

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